金曜の夜は「明日は出かけよう」と思っていたのに、気づけば夕方。休みが寝て終わってしまう週が続いていませんか。

せっかくの休みを無駄にした。自分は怠けているのかもしれない。
そう感じて、自分を責めてしまう方は少なくありません。
休日に寝すぎてしまうのは、意志の弱さではなく、平日にたまった睡眠不足やストレスの影響と考えられています。
日中の眠気に悩む人は、めずらしくありません。厚生労働省の令和元年国民健康・栄養調査では、3人に1人以上が週3回以上の日中の眠気を感じていました。
ただし、休日の寝すぎの裏に、医療的な対応ができる状態が隠れていることもあります。
読み進めると、次の3つがはっきりします。
- 休日に寝すぎてしまう仕組み
- ストレス・HSP・ホルモンや体質の背景との関係
- 受診したほうがよいサインと、何科に行けばよいか


医療法人社団一秀会 理事長
葛飾橋病院 院長
尾内 隆志
よりよい医療を提供し、地域に信頼される病院を目指していきます。
大口病院は、1954年に開設され、伊佐地区唯一の精神科医療機関として心の病を抱える方々の治療に従事してまいりました。
地域の皆さまにとってかかりつけの精神科病院となるべく、認知症、統合失調症、気分障害、発達障害など多様化した心の不調にあたるのに加え、近年は行政や関係機関と連携して地域の子どもから高齢者までのメンタルヘルス課題に対応するシステム作りにも取り組んでいます。
大口病院は、医療法人社団一秀会 葛飾橋病院が運営する医院の一つです。
葛飾橋病院は、地域の皆様や多くの病院の方々にご協力をいただき、半世紀をこえる歴史を重ねている医院です。
その間に社会環境、生活スタイルの変化など世の中も大きく変わり、それにともない精神医療分野も大きく変化し、今や患者様やご家族のご希望も変化・バリエーションが増えております。
これからも地域の皆さまと共に優しく開かれた医療をめざしていきます。
資格
- 精神保健指定医
- 認定精神科医
- 日本精神神経学会専門医
- 日本医師会認定産業医
- 日本医師会会員
- 日本精神科病院協会 会員
- 東京精神科病院協会 会員
- 東京都病院協会 会員
- ル・ソラリオン葛飾非常勤(嘱託)医師
専門分野
- 臨床精神科医学一般
休日にずっと寝てしまう主な原因


原因の多くは、平日に足りなかった睡眠を休日に取り戻そうとしていることにあります。
眠気を起こす代表的な背景は、次の4つです。
| 原因 | 体で起きていること |
|---|---|
| 平日の睡眠不足 | 足りない分がたまり、休日にまとめて返そうとする |
| 睡眠の質の低下 | 時間は足りていても、眠りが浅く休養にならない |
| 生活リズムのずれ | 起きる時刻が乱れ、体内時計が後ろにずれる |
| 疲れが抜けていない | 心身の消耗が回復しきっていない |
どれか1つではなく、重なっていることがよくあります。
平日の睡眠不足がたまっている
足りない睡眠は、少しずつ積み重なっていきます。
厚生労働省の解説では、睡眠不足が長く続いて慢性的な眠気や集中力の低下などの支障が出ている状態を「睡眠不足症候群」と呼びます。
よくみられるのは、平日の睡眠が3〜5時間と短く、休日に9〜10時間の長い寝だめをするパターンです。
ただし、この数字は診断の基準ではありません。平日6時間台でも足りていない人はいます。
やっかいなのは、睡眠不足が長引くほど、眠気を自覚しにくくなることです。「自分は大丈夫」と感じていても、体のほうは追いついていません。
睡眠の質が下がっている
時間を確保していても、眠りが浅ければ休養になりません。
寝る前のお酒は眠りを浅くし、夜中に目が覚める回数を増やします。
カフェインには覚醒作用があり、敏感な方は就寝の5〜6時間前から控えるのが無難です。布団の中でのスマートフォンは、画面の光が体内時計を後ろにずらして寝つきを悪くします。
関連記事:眠りが浅い原因は?夢ばかり見る理由と今日からできる改善法
生活リズムが後ろにずれている
休日に昼まで眠ると、体内時計が後ろにずれます。
その結果、日曜の夜に寝つけなくなり、月曜の朝がさらにつらくなります。休日の寝だめが、次の週の睡眠不足をつくってしまう形です。
必要な睡眠時間は人によって違う
必要な睡眠時間には、大きな個人差があります。
体質的に長い睡眠を必要とする人では、毎日6〜7時間以上眠っていても睡眠不足の状態になることがあります。時間の長さだけで「寝すぎ」と判断しないことが大切です。



「休日に寝すぎてしまう」とご相談を受けたとき、私はまず平日の睡眠時間をうかがいます。休日の眠りを削るのではなく、平日に眠れていない理由を一緒に探すことを大切にしています。
ストレスで眠りすぎてしまうのはなぜ?


ストレスが続くと、眠れなくなるだけでなく、眠りすぎる形(過眠)で出ることもあります。
気分の落ち込みや意欲の低下をともなうときは、こころの不調が背景にあるかもしれません。
また、気分の落ち込みが背景にあるとき、眠りが長くなる形で症状が出ることもあります。眠れなくなるだけがサインではありません。
「平日は普通に働けているから大丈夫」とは言い切れないのが、この状態の難しいところです。平日に動けているのは、気を張って持ちこたえているからかもしれません。
その緊張が切れる休日にだけ症状が出るため、本人も周囲も気づくのが遅れがちです。
次のような状態が続いていないか、確かめてみてください。
- 平日は動けるのに、休日だけ起き上がれない
- 眠っても休んだ感じがしない
- 好きだったことに興味がわかない
なかでも「好きだったことに興味がわかない」が当てはまるときは、疲れだけでは説明がつきません。
気分の落ち込みが背景にあるサインなので、2週間以上続いているようなら精神科・心療内科への相談を検討してください。
関連記事:うつ病と不眠の関係|眠れない・眠りすぎる特徴と対処法
「HSPだから休日に寝てしまう」は本当?


先に大事なところをお伝えすると、HSPは医学的な診断名ではありません。
HSP(Highly Sensitive Person)は心理学から広まった考え方で、病名ではなく、検査で診断するものでもありません。
一方で、音や光、人の多い場所で消耗しやすいかどうかは、人によって差があります。刺激の多い環境で平日を過ごした人が、休日に長い回復の時間を必要とするのは自然なことです。
「自分はHSPかもしれない」と考えることで、状態を説明でき、気持ちが楽になる方もいます。それ自体を否定する必要はありません。
実際、刺激の多い職場で働いている方が、休日に人と会わず静かに過ごすのは、理にかなった回復の仕方です。
気をつけたいのは、「HSPだから仕方ない」で説明を終えてしまうことです。
ただし、次のどれかが当てはまるときは、繊細さ以外の原因も考えてみてください。
- 眠っても疲れが取れない
- 気分の落ち込みが続いている
- いびきを指摘されたことがある
- 立ちくらみやだるさを伴う
こうしたサインがあるときは、体質ではなく、医療的な対応ができる状態が背景にあるかもしれません。



繊細さを否定したいわけではありません。ただ、「HSPだから」で止めてしまうと、医療的な対応ができる病気を見逃してしまうことがあります。一度医療機関で確かめておく、という気持ちで相談していただければ十分です。
女性に多い背景もある


女性では、ホルモンの変化が眠気に関わっていることがあります。
時期ごとに、眠気が強まりやすい理由が違います。
| 時期 | 背景 | 一緒に出やすいこと |
|---|---|---|
| 月経前 | 排卵後に増えるプロゲステロンの影響 | イライラ、頭痛、乳房の張り |
| 妊娠中 | ホルモンの変化と睡眠の質の低下 | 夜間の頻尿、吐き気 |
| 産後 | 授乳と夜泣きで睡眠が細切れになる | 気分の落ち込み |
| 更年期 | 眠りが浅くなる | のぼせ、発汗、動悸 |
月経前は、体温が下がりにくくなります。人は体温が下がるときに深く眠れるため、眠りが浅くなり、日中の眠気が強まりやすくなります。
同じ時期に毎月くり返しているなら、記録が役に立ちます。 カレンダーに眠気の強さを書き込むだけでも、時期との関係が見えてきます。
月経前後の不調が毎月続く場合は、月経前症候群の可能性があります。産婦人科に相談してみてください。
更年期は、閉経の前後5年ほどの期間を指します。この時期は不眠や睡眠時無呼吸が起こりやすくなります。
のぼせや発汗、動悸をきっかけに深く眠れなくなり、そこから「また眠れないのでは」という不安が重なって長引くこともあります。
出産後も、授乳と夜泣きで睡眠が細切れになり、日中の眠気が強くなります。気分の落ち込みが長引くときは、産婦人科か精神科に早めに相談してください。
なお、眠気の背景には男女を問わず、貧血や甲状腺機能低下症など体の病気が隠れていることもあります。
だるさ、立ちくらみ、体重の変化があるときは、内科で血液検査を受けておくと安心です。
背景に病気が隠れていることもある


夜に十分眠っているはずなのに日中の眠気が強い状態を、過眠といいます。
過眠を起こす病気には、夜の眠りの質が下がるものと、脳を目覚めさせる働きが弱くなるものがあります。
| 病気 | 特徴的なサイン | 相談先 |
|---|---|---|
| うつ病 | 気分の落ち込み、興味がわかない | 精神科・心療内科 |
| 睡眠時無呼吸 | いびき、呼吸が止まる、眠りが浅い | 呼吸器内科・睡眠外来 |
| むずむず脚症候群 | 夜、じっとしていると脚の奥がむずむずする | 精神科・脳神経内科 |
| 過眠症 | 夜眠れているのに日中に強い眠気 | 睡眠外来 |
うつ病
一日中気分が落ち込む、何をしても楽しめない。こうした状態が続いているときは、うつ病の可能性があります。
そこに、眠れない・食欲がない・疲れやすいといった体の症状が重なり、生活に支障が出ていれば、なおさらです。
注意したいのは、眠れなくなる形だけがうつ病のサインではないことです。眠りすぎる形をとることもあります。
うつ病は、感情や意欲をつかさどる脳の働きに不調が生じている状態と考えられています。気持ちの持ちようで治すものではありません。
睡眠時無呼吸
眠っている間に呼吸が止まり、そのたびに眠りが浅くなる病気です。
時間は眠れていても質が下がるため、日中の眠気が出ます。本人は気づきにくく、いびきを家族に指摘されて見つかることがよくあります。
中年以降は、舌やあご、喉まわりの筋力が落ちて起こりやすくなります。肥満も危険因子ですが、痩せている方でも起こります。
放っておくと、夜間に体が酸素不足の状態を繰り返すため、血圧や血糖にも影響することがあります。眠気だけの問題ではありません。
過眠症(ナルコレプシーなど)
過眠症にはいくつかの種類があります。代表的なナルコレプシーでは、脳を目覚めさせておく物質(オレキシン)が足りなくなることが分かっています。
ほかに、原因がはっきりしない特発性過眠症などもあります。
会議中や試験中など、通常では考えられない場面で眠ってしまうことがあります。
夜きちんと眠れているのに日中の眠気が強い、という点が睡眠不足との違いです。検査で調べられるため、疑わしいときは睡眠外来に相談してください。
発達特性が関わることもある
ADHDなどの発達特性があると、生活リズムを一定に保つことが難しく、睡眠不足がたまりやすくなることがあります。
夜に集中が切れて就寝が遅れる、朝の準備に時間がかかる、といったことが重なると、平日の睡眠が削られていきます。本人の努力不足の問題ではありません。
なお、急に強い眠気が始まり、激しい頭痛、ろれつが回らない、手足に力が入らないといった症状を伴うときは、様子を見ずにすぐ救急外来を受診してください。



「寝すぎ」という症状だけで病名が決まることはありません。診察では、眠った時刻・起きた時刻・日中の眠気を1〜2週間記録したメモがあると、とても助かります。
休日の寝すぎを立て直す方法


休日の睡眠を無理に削る必要はありません。まずは起きる時刻を平日に近づけるところから始めます。
厚生労働省の解説では、平日・休日にかかわらず同じ時刻に起きる習慣をつけることがすすめられています。
- 起きる時刻を平日に近づける(できるだけ同じ時刻が理想です)
- 起きたらカーテンを開けて光を浴びる
- 眠気が強い日は、午後3時までに30分以内の仮眠をとる
- 平日の就寝時刻を、1週間ごとに15分ずつ早める
いきなり全部やろうとせず、1つ目だけでも構いません。
一度起きて光を浴びたあと、ソファなどで休むのは構いません。ただし寝床に長く居続けるのは避けてください。
寝床で眠れないまま過ごす時間が長くなると、かえって眠りが浅くなることが分かっています。
仮眠は、長すぎると夜の睡眠に響きます。30分以内、午後3時まで、という2つを守れば、日中の眠気をしのぎながら夜の睡眠を守れます。
- 昼まで寝て取り戻そうとする:体内時計がさらに後ろにずれます
- 寝酒で眠気を誘う:眠りが浅くなり、翌日の眠気が増します
- 休日の夕方に長く昼寝する:夜に眠れなくなります
- 休日も平日と近い時刻に一度起きる(そのあとソファで休むのは構いません)
- 朝の光を5分でも浴びる
- 平日の睡眠を15分だけ増やす(1週間ごとに)
寝だめで眠気は一時的に軽くなりますが、睡眠不足で体にかかった負担は、それだけでは戻りません。休日の寝だめが必要な状態そのものを見直すことが近道になります。
病院に相談する目安と何科に行くか


期間の長さにかかわらず、生活に支障が出ているなら相談して構いません。「何か月続いたら」という基準を待つ必要はありません。
症状によって、相談しやすい科が変わります。
| こんなとき | 相談先 |
|---|---|
| 気分の落ち込みや意欲の低下を伴う | 精神科・心療内科 |
| いびきや、呼吸が止まると言われた | 呼吸器内科・睡眠外来 |
| だるさや立ちくらみがある | 内科 |
| どこに行けばよいかわからない | 精神科・心療内科、またはかかりつけ医 |
迷うときは、精神科・心療内科か、かかりつけの医師に相談すれば、必要に応じて適切な科につないでもらえます。
「こんなことで受診してよいのか」とためらう方は多いのですが、眠気で生活に支障が出ているなら、それは十分な相談理由です。
- 眠った時刻と起きた時刻(1〜2週間分)
- 日中の眠気が強い時間帯
- 飲んでいる薬やサプリメント
運転中や仕事中に強い眠気がある方へ
- 眠気があるときは運転を控え、運転が必要な場合は早めに医療機関に相談してください。
- 居眠り運転をしかけた経験があるときは、そのことを必ず診察で伝えてください。
「消えてしまいたい」「死にたい」と感じるほどつらいときは、一人で抱え込まず、すぐに相談してください。
- #いのちSOS:0120-061-338(無料・24時間365日)
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556(通話料がかかります。受付の曜日・時間は都道府県によって異なります)
今すぐ自分を傷つけてしまいそうなときは、119番に連絡してください。
よくある質問


まとめ


休日にずっと寝てしまうのは、怠けではなく、平日にたまった睡眠不足やストレスの影響と考えられています。
一方で、うつ病や睡眠時無呼吸、過眠症など、医療的な対応ができる状態が背景にあることもあります。
- 休日の起きる時刻を平日に近づける
- 起きたら光を浴びて、体内時計を整える
- 眠っても眠気が取れないときは、期間にかかわらず相談する
大口病院でも、眠れない悩みや心の不調についてのご相談をお受けしています。
参考資料
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「昼間の眠気 – 睡眠不足だけではなく睡眠・覚醒障害にも注意が必要」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-004.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「女性の睡眠障害」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-005.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「不眠症」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-001.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-004.html
- 国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト「うつ病」 https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=9D2BdBaF8nGgVLbL
- 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査報告」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/









