月曜の朝、起きようとして体が動かない。

休んだほうがいいのは自分でもわかっている。でも、診断書を書いてもらえなかったらどうしよう。
同じ不安を抱えている方は少なくありません。
先にお伝えしておきたいことがあります。診断書は、交渉して勝ち取るものではありません。 医師が診察して、いまの状態に療養が必要だと判断したときに出るものです。


医療法人社団一秀会 理事長
葛飾橋病院 院長
尾内 隆志
よりよい医療を提供し、地域に信頼される病院を目指していきます。
大口病院は、1954年に開設され、伊佐地区唯一の精神科医療機関として心の病を抱える方々の治療に従事してまいりました。
地域の皆さまにとってかかりつけの精神科病院となるべく、認知症、統合失調症、気分障害、発達障害など多様化した心の不調にあたるのに加え、近年は行政や関係機関と連携して地域の子どもから高齢者までのメンタルヘルス課題に対応するシステム作りにも取り組んでいます。
大口病院は、医療法人社団一秀会 葛飾橋病院が運営する医院の一つです。
葛飾橋病院は、地域の皆様や多くの病院の方々にご協力をいただき、半世紀をこえる歴史を重ねている医院です。
その間に社会環境、生活スタイルの変化など世の中も大きく変わり、それにともない精神医療分野も大きく変化し、今や患者様やご家族のご希望も変化・バリエーションが増えております。
これからも地域の皆さまと共に優しく開かれた医療をめざしていきます。
資格
- 精神保健指定医
- 認定精神科医
- 日本精神神経学会専門医
- 日本医師会認定産業医
- 日本医師会会員
- 日本精神科病院協会 会員
- 東京精神科病院協会 会員
- 東京都病院協会 会員
- ル・ソラリオン葛飾非常勤(嘱託)医師
専門分野
- 臨床精神科医学一般
まず、今日と明日をどう休むか


診断書が手元にない間も、休むことはできます。
年次有給休暇は、労働基準法で定められた休みです。 法律が定めている条件は、勤めた期間と出勤率で、診断書は条件に入っていません。
会社への連絡は、短くて構いません。
「体調が悪いため、本日はお休みさせてください。受診して、あらためてご連絡します」
電話がつらければ、メールやメッセージで構いません。家族に代わりに連絡してもらう形でも構いません。
全体の流れは、おおよそ次のようになります。
- 受診する
- 医師が必要と判断すれば、診断書が出る
- 会社に出す
- 休み始める
就業規則の確認は、このあとで間に合います。先に受診してください。
休職の診断書のもらい方


特別な手続きはありません。精神科・心療内科を受診して、いまの状態を話す。 これだけです。
精神科と心療内科のどちらでも相談できます。電話がつらければ、ウェブで予約できるところもあります。
受診の前に整理しておくこと
診察の時間は限られています。あらかじめ整理しておくと、伝えやすくなります。
- いつごろから続いているか
- 仕事で何ができなくなったか
- 眠れているか、食べられているか
- 休日に回復するか
- 会社に休職の制度があるか(分からなければ「分からない」で構いません)
「迷惑をかけているので休みたい」だけだと、どの程度の状態なのかが伝わりません。起きていることを、起きたとおりに伝えてください。
症状を強く見せる必要はありませんし、当てはまらないことを足す必要もありません。 言葉にしづらければ、メモや、この記事のセルフチェックの結果を見せるだけでも構いません。
✓受診の前に、いまの状態を整理するセルフチェック
これは診断ではありません。休職が必要かどうかを決めるのは医師で、このチェックではありません。受診のときに伝える材料を整理するためのものです。当てはまるものを選ぶと、下に結果が出ます。つらくなったら途中でやめてください。選んだ内容がどこかに送信されることはありません。
選んだ項目:0/18
※この結果は診断ではありません。休職が必要かどうかを判断するのは医師です。受診するかどうかは、ご自身で決めて構いません。
診断書は当日もらえる?
受診したその日に受け取れるかどうかは、医療機関によって異なります。
「即日発行」と案内されている情報もありますが、発行までの日数は医療機関ごとに違います。予約のときに確認しておくと確実です。
当日に出なかったとしても、断られたということではありません。 そこは分けて考えてください。
急いでいる事情があるなら、それも伝えて構いません。会社への提出期限がある、といった事情は、伝えなければ伝わりません。
この記事は一般的な流れの説明です。発行までの日数や手続きは医療機関ごとに異なり、特定の医療機関での発行をお約束するものではありません。
休職に診断書は必要?


多くの会社で求められます。 ただし、細かい決まりは会社ごとに違います。
休職は、会社が定める制度
労働基準法は、就業規則に記載すべき事項を定めています。そのなかに「休職」はありません。
つまり休職は、法律が全社に義務づけた制度ではなく、会社が定めている場合に利用できる仕組みです。診断書が要るかどうか、どれくらい休めるのかも、会社の定めによります。
| 根拠 | 給料 | |
|---|---|---|
| 年次有給休暇 | 労働基準法で定められた休み | 支払われる |
| 欠勤 | 会社の定めによる | 会社の定めによる |
| 休職 | 会社の定めによる | 会社の定めによる(傷病手当金の対象になりうる) |
数日休みたいだけなら、まず有給休暇で足りることもあります。
厚生労働省の手引きは、私傷病(仕事が原因ではない病気やけが)による休業の最長(保障)期間などを定める場合について触れています。
その場合は労使で十分に協議して決め、あらかじめ就業規則等に定めて周知しておくことが望ましいとされています。
就業規則は、見せてもらって構わない
労働基準法は、使用者は就業規則を労働者に周知させなければならないと定めています。見やすい場所に掲示する、備え付ける、書面を交付するといった方法です。
どこにあるか分からなければ、聞いて構いません。社内で確認できるようになっているはずのものです。
実際の流れは診断書から始まる
厚生労働省の手引きは、休業の始まりをこう説明しています。
> 労働者から管理監督者に主治医による診断書(病気休業診断書)が提出され、休業が始まります
管理監督者とは、職場の上司にあたる人です。国が示す標準的な流れが、診断書の提出から始まる形になっています。



診断書は、会社を説得するための道具ではありません。いまの状態を医師が確認した結果です。「書いてもらえるか」ではなく「いまどうなっているか」を話しに来てください。
診断書には何が書かれる?


休むときの診断書
中心になるのは、療養が必要だという判断と、必要な療養期間の見込みです。
厚生労働省の手引きでは、診断書について次のように書かれています。
> 診断書には病気休業を必要とする旨の他、職場復帰の準備を計画的に行えるよう、必要な療養期間の見込みについて明記してもらうことが望ましい
「見込み」であるところが大事です。先の状態は、そのときに診察してみないと分かりません。「1か月」と書かれて、終わるころにまた受診する形が多いのは、このためです。
一度で長い期間が出なかったとしても、見放されたわけではありません。
戻るときの診断書は、中身が変わる
復職するときには、改めて診断書を出すことになります。手引きでは、その診断書に就業上の配慮についての主治医の具体的な意見を記入してもらうことが望ましいとされています。
「残業は当面避ける」「段階的に時間を延ばす」といった内容です。働けるかどうかを判定するだけのものではありません。
診断書をもらえないことはある?


あります。 ただ、ここで誤解しないでいただきたいことがあります。
断られたことは、あなたのつらさが足りないという意味ではありません。
そして、伝え方を工夫すれば出る、というものでもありません。 診断書は、医師が診察したうえで療養の必要を認めたときに出す書類です。
出なかったときに、できること
- 次の診察で、話せていなかったことを補う
初診の短い時間では、生活の様子まで話しきれないことがよくあります。睡眠、食事、休日の過ごし方など、まだ話していないことがあれば伝えてください
- 会社の窓口に相談する
産業医は、職場の状況を踏まえて、事業者に意見を述べることができる立場にあります。保健師や人事の相談窓口もあります
- 別の医療機関に相談する
通いやすさや相性の問題があるときは、相談先を変えることもできます。その際は、すでに受診していることと、これまでの経過を伝えてください
- 公的な窓口に相談する
職場のトラブル全般は、厚生労働省の総合労働相談コーナーで相談できます
3つ目は、診断書を出してくれる医療機関を探すという意味ではありません。 続けて診てもらえる場所を見つける、という意味です。
また来て構いません
初めての診察だけでは判断がつかず、少し様子を見てから、ということがあります。それは「出せない」という結論ではなく、次の診察で改めて相談できるということです。



断られたと感じて来なくなってしまうことが、いちばん心配です。診断書が出なかった日も、診察を受けたこと自体に意味があります。経過を見てもらえる相手ができた、ということだからです。
「消えてしまいたい」「死にたい」と感じるほどつらいときは、一人で抱え込まず、すぐに相談してください。
- #いのちSOS:0120-061-338(無料・24時間365日)
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556(通話料がかかります。受付の曜日・時間は都道府県によって異なります)
電話が難しいときは、SNSやチャットの相談窓口が厚生労働省「まもろうよ こころ」にまとまっています。
今すぐ自分を傷つけてしまいそうなときは、119番に連絡してください。
※受付時間や番号は変わることがあります。最新の情報は「まもろうよ こころ」でご確認ください。
診断書の会社への出し方


まず、誰に出すのかを確認してください。
厚生労働省の手引きでは、労働者から管理監督者(上司)に診断書が提出され、管理監督者が人事労務管理スタッフ等に連絡するという流れが示されています。ただし会社によって窓口が違うので、就業規則か人事に確認してください。
出す前に確認すること
| 確認すること | 補足 |
|---|---|
| 誰に出すか | 上司か、人事か |
| 出し方 | 手渡しか、郵送か、データか |
| 期限 | 会社が定めていることがあります |
聞くことは、一度にまとめてよい
何度もやりとりするのは負担です。一通にまとめて構いません。
「休職を考えており、診断書を準備しています。つきましては、①提出先 ②郵送やデータでの提出が可能か ③提出の期限 ④休職の規定について、教えていただけますでしょうか」
出社せずに出したいとき
出社がつらいときは、郵送やデータで構わないかを先に確認してください。 提出のために無理に出社する必要はありません。
連絡そのものがつらいときは、家族に代わりに連絡してもらう形でも構いません。



「迷惑をかけてしまう」と考えて、出社してから渡そうとされることがあります。提出方法は会社ごとに決まっているので、先に確認してみてください。
休職の制度が会社にないときは
休職の制度がない会社もあります。その場合でも、有給休暇や欠勤として休むことはできます。
会社の対応に困ったとき(休ませてもらえない、退職を迫られるなど)は、総合労働相談コーナーに相談できます。
休職中のお金はどうなる?


休職中に給与が出るかどうかは、会社の定めによります。出ない会社も多くあります。
そのときに使えるのが、健康保険の傷病手当金です。
どんな制度か
全国健康保険協会(協会けんぽ)の説明では、傷病手当金は病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度です。
病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
支給の対象になるのは、次の4つをすべて満たす場合です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① | 業務外の病気やケガの療養のための休業であること |
| ② | 仕事に就くことができないこと |
| ③ | 連続する3日間を含み、4日以上仕事に就けなかったこと |
| ④ | 休業した期間について給与の支払いがないこと |
③の最初の3日間は待期と呼ばれ、ここには有給休暇や土日・祝日も含まれます。4日目以降が支給の対象です。
④について、給与の支払いがあっても傷病手当金の額より少ない場合は、その差額が支給されます。
支給される期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月です。
手続きはどこへ
申請の窓口は、保険証に書かれている保険者(協会けんぽ、健康保険組合など)です。会社を通して手続きすることが多いので、まず会社の担当者に聞いてください。
手引きでは、休業が始まったあとに会社が本人へ情報提供等の支援を行うことがすすめられています。傷病手当金などの経済的な保障は、その項目のひとつです。
案内がなければ、こちらから聞いて構いません。
心身の不調が続いているときは、うつ病と不眠もあわせてご覧ください。
よくある質問


まとめ


診断書が手元にない間も、有給休暇で休むことはできます。まず受診してください。 就業規則の確認は、そのあとで間に合います。
診断書は交渉で出るものではなく、医師が診察して療養の必要を認めたときに出る書類です。受診では、仕事のことだけでなく、眠れているか、食べられているかといった生活の状態も伝えてください。
- 休むことを優先する。手続きはあとから追いつく
- 起きていることを、起きたとおりに伝える
- 断られても、また来て構わない
大口病院でも、こころの不調についてのご相談をお受けしています。
参考資料
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 厚生労働省・独立行政法人労働者健康安全機構「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」 https://www.mhlw.go.jp/content/000561013.pdf
- 全国健康保険協会「傷病手当金」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/









