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うつ病の診断書|もらえる条件と断られる理由

うつ病の診断書|もらえる条件と断られる理由

仕事を休みたい。でも、診察で何と言えばいいのか分からない。

こんな程度で診断書なんて、大げさだと思われないだろうか。

断られるところを想像して、受診そのものをやめてしまう人がいます。

うつ病の診断書は、診察を受けた医師が、その診察でわかったことをもとに書く書類です。だから「誰でも」「すぐに」もらえるものではありません。

一方で、診察を受けたあとに診断書を求めたなら、医師は正当な理由がないかぎり断ることができません。これは医師法という法律で決まっています。

ただし「正当な理由」にあたる場合は、書いてもらえないこともあります。その中身もあとで見ていきます。

ここから見ていくのは、次の5つです。

  1. 医師が何を見て判断しているのか
  2. 診断書に何が書かれるのか
  3. 書いてもらえないことがある理由と、そのときにできること
  4. 会社に出したあと、会社がどう動くのか
  5. 「デメリット」と言われているものの中身と、使える制度

会社に出す場合を中心に書いていますが、学校や公的な制度に出す場合も、診断書の作られ方は同じです。

監修者情報

医療法人社団一秀会 理事長
葛飾橋病院 院長
尾内 隆志

よりよい医療を提供し、地域に信頼される病院を目指していきます。

大口病院は、1954年に開設され、伊佐地区唯一の精神科医療機関として心の病を抱える方々の治療に従事してまいりました。

地域の皆さまにとってかかりつけの精神科病院となるべく、認知症、統合失調症、気分障害、発達障害など多様化した心の不調にあたるのに加え、近年は行政や関係機関と連携して地域の子どもから高齢者までのメンタルヘルス課題に対応するシステム作りにも取り組んでいます。

大口病院は、医療法人社団一秀会 葛飾橋病院が運営する医院の一つです。

葛飾橋病院は、地域の皆様や多くの病院の方々にご協力をいただき、半世紀をこえる歴史を重ねている医院です。

その間に社会環境、生活スタイルの変化など世の中も大きく変わり、それにともない精神医療分野も大きく変化し、今や患者様やご家族のご希望も変化・バリエーションが増えております。

これからも地域の皆さまと共に優しく開かれた医療をめざしていきます。

資格
  • 精神保健指定医
  • 認定精神科医
  • 日本精神神経学会専門医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本医師会会員
  • 日本精神科病院協会 会員
  • 東京精神科病院協会 会員
  • 東京都病院協会 会員
  • ル・ソラリオン葛飾非常勤(嘱託)医師
専門分野
  • 臨床精神科医学一般
目次

うつ病の診断書は「誰でも」「すぐ」もらえるのか

うつ病の診断書が誰でもすぐにもらえるわけではない理由

もらえるかどうかは、診察を受けてから決まります。

医師法の第20条に、医師は自分で診察をしないで診断書を渡してはならない、と書かれています。医師が違反すると50万円以下の罰金と定められている、はっきりした決まりです。

診察の前の時点では、もらえるとも、もらえないとも言い切れないということです。

そして、特別に重い状態の人だけに出る書類でもありません。判断するのは医師であって、本人が自分の状態を重いか軽いか決める必要はありません。

医師が診察で見ていること

法律には「どういう状態なら書ける」という基準は書かれていません。実際の診察では、おおむね次のようなところを見ています。

  1. 診察で、いまの状態を確認できているか。初診で短い時間しか話せていないと、判断の材料が足りません
  2. 仕事や生活に、どのような支障が出ているか。つらさの強さより、できなくなっていることが手がかりになります
  3. 何に使う書類なのか。提出先と用途が分かると、書く内容が決まります

初診のその日に書かれることもあれば、経過を見てから2回目以降になることもあります。

受診までの流れ

段階ポイント
予約・受付診断書が必要なことを伝えておくと、診察でその話をする時間を取ってもらえます
診察医師が状態を確認します。ここで診断書を書けるかどうかが決まります
発行書式や提出先によって、その場で渡せるか後日になるかが変わります

発行までにかかる日数や費用は医療機関ごとに違うので、予約のときに確認してください。

診断書を、何のために用意しようとしていますか

これは診断ではありません。症状の重さを測るものでもありません。診断書を何に使いたいのかを整理して、診察で伝えることと、進む手続きをはっきりさせるためのチェックです。当てはまるものを選ぶと、下に結果が出ます。選んだ内容がどこかに送信されることはありません。

仕事を休みたい・働き方を変えたい
休んでいる間のお金
通院と治療費を続けること
会社や周りに伝えること
診断書の提出先は決まっている?
こころの不調で、いま通院している?
いまのつらさ

選んだ項目:0/14

※この結果は診断ではありません。診断書を出すかどうかを判断するのは医師です。制度の条件や金額は、加入先・お住まいの自治体によって異なります。

監修医師のコメント

診察では「診断書をもらえますか」だけでなく、何に困っていて、どうしたいかも話していただけると助かります。そこが分かれば、必要な書類はこちらで判断できます。

うつ病の診断書には何が書かれるのか

うつ病の診断書に書かれる項目

書かれるのは、診察でわかったことと、医師の判断です。本人の希望どおりの内容になる書類ではありません。

書式は提出先によって違いますが、よく入る項目は次のとおりです。

項目何のための記載か
病名または症状いま何が起きているかを提出先に伝えるため
療養が必要だという判断働ける状態かどうかの医学的な意見を示すため
必要な療養期間の見込みいつまで休む必要がありそうかの目安を示すため
就労についての意見残業や夜勤など、避けたほうがよい働き方を示すため

病名の欄に何と書かれるかは、診察の結果によります。「うつ病」と書かれるとは限りません。うつ状態、適応障害など、その時点での医師の判断が入ります。

期間は「見込み」です。回復の様子を見ながら、短くなることも延びることもあります。

会社が指定する書式がある場合は、受診前に受け取っておくと一度で済みます。

診断書を書いてもらえないことがあるのはなぜか

診断書を書いてもらえないことがある理由

ここがいちばん不安な部分だと思います。

医師法の第19条第2項には、診察をした医師は、診断書を求められたとき、正当の事由がなければ拒んではならないと書かれています。

断られるのは医師の気分や相性の問題ではなく、この「正当の事由」にあたる場合だということです。法律に中身までは書かれていないので、実際の診察では次のような場合が考えられます。

断られる理由次にできること
診察が足りていないもう一度受診して、話せていなかったことを伝える
所見と希望する内容が違うどこが違うのかを聞いて、書ける範囲を確かめる
提出先や用途が分からない何に使うかを伝える。書式があれば持っていく
経過を見ないと判断できない次の受診の予約を取り、そこで改めて相談する

断られたときにできること

断られた理由は、その場で聞いて構いません。納得できないときに、別の医療機関で相談することもできます。これまでの経過を伝えてください。

診察で伝えるとよいこと

何から話せばいいか分からないときは、次の5つをメモにして持っていってください。

  • 何に使うか(休職を申し出たい、勤務の調整を相談したい、制度の申請に使う)
  • 提出先(会社名・制度名)と、指定の書式があるか
  • いつごろから困っているか
  • 仕事で、できなくなっていること(朝起きられない、集中できない、ミスが増えた)
  • 生活で、できなくなっていること(食事がとれない、眠れない、人に会えない)

言い方は難しく考えなくて構いません。「朝起きられず、先月から遅刻が増えました」のように、起きたことをそのまま話せば十分です。

監修医師のコメント

断られたとき、ご自身に落ち度があったのではと考える方がいますが、そうとは限りません。その時点で書ける材料がそろっていなかった、ということも少なくありません。

診断書を会社に出したあと、会社はどう動くのか

診断書を会社に出したあとの流れ

会社がどう対応するかは、その会社の就業規則によって変わります。

労働基準法では、常時10人以上の労働者を使う会社に就業規則を作る義務がありますが、法律が定める記載事項に休職は入っていません。休職の制度があるかどうかは、会社ごとに違うということです。

就業規則は、労働者がいつでも見られるようにしておく義務が会社にあります。どこにあるか分からなければ、人事に聞いて構いません。

提出したあとは、たとえば次のようなことが起こります。

  • 人事や上司との面談。いつから休むか、引き継ぎをどうするかを決めるためです
  • 産業医との面談。産業医は職場の健康管理をする医師で、常時50人以上が働く事業場には選任する義務があります
  • 休職の手続き。制度があれば、期間や条件はそこで決まります
  • 働き方の調整。休職ではなく、残業や出張を減らす形で対応されることもあります

休職が認められない場合でも、年次有給休暇を使って休むことはできます。会社とのやりとりで困ったときは、各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーで無料で相談できます。

病名がどこまで社内で共有されるかは、会社ごとの扱いによって違います。知られたくない範囲があるなら、提出のときに人事へ伝えておくことができます。

「診断書のデメリット」と言われるものの中身

診断書のデメリットと言われるものの切り分け

デメリットとして語られているものには、手続き上はっきり影響するものと、確かめようのないものが混ざっています。分けて見ていきます。

言われていること影響実際のところ
保険に新しく入れない条件による加入のときの告知に関わります
会社に知られるある提出先なので会社は知ります
公的な記録に一生残る提出先しだいどこまで共有されるかは提出先に確認を
住宅ローンが組めない商品による金融機関ごとの審査です。保険への加入が条件の商品もあります

生命保険や医療保険に新しく入るとき

ここは特に現実的な影響がある部分です。

関わってくるのは、診断書そのものよりも、保険に入るときに病歴や通院歴を正しく答える場面です。

告知とは、加入のときに病気や通院の状況を保険会社に申告することです。

保険法という法律では、保険会社が答えを求めた項目のうち、保険金を支払う事態の起こりやすさに関わるものについて、事実を告知しなければならないと決まっています。医療保険のような保険についても、同じ仕組みが決められています。

そして、わざと、または重大な不注意で告知をしなかった場合、保険会社は契約を解除できます。事実と違う告知をした場合も同じです。

告知が必要な範囲や、加入できるかどうかは、保険会社と商品によって違います。契約の前に、保険会社や代理店に直接確認してください。

大事なのは、「治療を受けていると保険に入れない」とは決まっていないということです。告知したうえで加入できる商品もあります。すでに入っている保険の扱いも含め、個別の可否は保険会社に直接確認してください。

会社での扱い

社内で診断書がどう扱われるかは、就業規則と、その会社の運用によって決まります。

気になるときは、休職や復職の規定を先に読んでおくと見通しが立ちます。

休んでいる間のお金と、通院を続けるための制度

休職中のお金と通院を続けるための制度

診断書は、休むための書類であると同時に、お金と通院を支える制度の入口にもなります。

制度何が変わるか窓口
傷病手当金働けない期間の収入の一部が補われます加入している健康保険
労災保険の休業補償給付仕事が原因で働けないときの補償です勤務先を管轄する労働基準監督署
自立支援医療通院の医療費の自己負担が軽くなりますお住まいの市区町村
障害年金生活や仕事に制限があるときに受け取れることがあります年金事務所・市区町村
精神障害者保健福祉手帳支援やサービスを受けられることがありますお住まいの市区町村

傷病手当金は健康保険の制度です。働けなくなった日から3日間が待期となり、その後から支給が始まります。同じ病気については、支給を始めた日から通算して1年6か月まで受け取れます。給与が出ている間は原則として支給されません。

加入先は保険証で確認できます。国民健康保険の場合、傷病手当金は市町村や組合が定めれば行える給付とされていて、あるとは限りません。公務員などの共済組合も条件が異なることがあります。

また、傷病手当金の対象は業務災害以外の病気やけがです。仕事が原因だと考えられる場合は、労災保険の対象になることがあります。労災の休業補償給付は、療養のため働けず賃金を受けない日の4日目から支給されます。勤務先を管轄する労働基準監督署に相談してください。

自立支援医療(精神通院医療)は、通院で精神科の治療を続ける必要がある人が対象になります。世帯の所得なども含めて市区町村が審査し、認定を受けたうえで、指定された医療機関で受診すると適用されます。ふだん3割の自己負担が原則1割までになり、所得に応じて1か月の上限額も決まります。

障害年金は、生活や仕事に制限がある状態になったときに受け取れることがある年金です。初診日(その病気で初めて医師にかかった日)に国民年金に入っていたか厚生年金に入っていたかで、種類が変わります。

請求できるのは、原則として初診日から1年6か月が経った日以降です。保険料の納付状況についても条件があるので、年金事務所で確認してください。

精神障害者保健福祉手帳は1級から3級まであり、申請は市区町村の窓口を経由します。受けられる支援の内容は自治体や事業者によって違い、申請できる時期にも条件があるので、窓口で確認してください。

申請には、それぞれ決まった書式の書類が必要です。会社に出す診断書とは別に書いてもらうことになるので、受診のときに相談してください。どの制度も、必要な人が使えばよいものです。

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診察では、盛らなくても減らさなくてもいい

事実と違う内容で診断書をもらったときに起きること

診断書は、医師が診察でわかったことを書く書類です。本人の申告だけで内容が決まるものではありません。

事実と違う内容で作られた診断書は、使った先で問題になります。たとえば健康保険法では、偽りや不正によって給付を受けた人から、その分を徴収できると決められています。診断書に事実と違うことを書いた医師も、あわせて納めるよう命じられることがあります。

一方で、本当はつらいのに、「大げさだと思われる」と考えて少なく言ってしまう方もいます。

その結果、医師には軽い状態に見えてしまい、必要な書類が出ないことがあります。これはいちばんもったいないことです。

うまく見せる工夫は要りません。起きていることを、起きたとおりに伝えてください。

監修医師のコメント

診察で「本当はもっとつらかった」と後から分かることがあります。言いにくいことは、メモにして渡していただくだけでも構いません。

よくある質問

うつ病の診断書についてよくある質問

診断書は、オンライン診療でももらえますか?

対応しているかどうかは医療機関によって違います。

初診から対応しているか、郵送になるかも医療機関ごとに変わるので、予約のときに確認してください。

診断書に書かれた病名は、会社の誰まで知ることになりますか?

提出先の会社が決める扱いによります。

人事担当者だけで扱われることもあれば、上司にも共有されることもあります。知られたくない範囲があるなら、提出のときに伝えておくことができます。

会社ではなく、学校や家族に出す場合も同じですか?

診察を受けた医師が、診察でわかったことを書くという点は同じです。

ただし提出先によって書式や必要な項目が違うので、先に確認してから受診してください。

内科でもうつ病の診断書は書いてもらえますか?

診察をした医師であれば、科によって書けないという決まりはありません。

経過を見ながら治療を続けたり、診断書を更新したりする必要が出てくる場合は、精神科や心療内科への通院が選択肢になります。

診断書に書かれた期間が終わったあとは、どうなりますか?

改めて診察を受けて、次をどうするかを決めます。

回復していれば復職の相談になりますし、まだ難しければ期間が延びることもあります。期間が切れる前に受診の予約を取っておくと間が空きません。

まとめ

うつ病の診断書のまとめ

うつ病の診断書は、診察を受けた医師が、その診察でわかったことをもとに書く書類です。

診察の前に「もらえる」と決まっていることはありませんが、診察を受けて診断書を求めたなら、医師は正当な理由がないかぎり断ることができません。

断られたときは、理由をその場で聞くことも、次の診察で話せていなかったことを補うこともできます。

うつ病の診断書で覚えておきたい3つのこと
  1. もらえるかどうかは、診察を受けてから決まる
  2. 断られるのは、本人の落ち度とは限らない
  3. 症状を盛って出してもらう書類ではない

大口病院でも、こころの不調についてのご相談をお受けしています。

この記事は、公表されている法令と公的資料をもとに、一般的な内容を整理したものです。個別の診断や治療の方針に代わるものではありません。制度の内容は2026年10月時点のもので、加入先やお住まいの自治体によって異なります。

参考資料

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この記事を書いた人

医療法人慈和会 大口病院のアバター 医療法人慈和会 大口病院 医療法人慈和会 大口病院スタッフ

医療法人慈和会 大口病院(鹿児島県伊佐市/精神科・心療内科・内科)
「人権の尊重と自立支援」「安全な医療の提供」を基本理念に、精神科・心療内科を中心とした地域医療に取り組む医療法人です。認知症治療やデイケア、就労・生活支援まで、関係機関と連携しながら“地域とともに歩む”医療・福祉を提供しています。本記事は当院の診療経験にもとづき医療にまつわる情報をわかりすく発信していきます。

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