気づいたら外が明るくなっていて、結局一睡もできなかった。

一睡もできないまま朝になっちゃった…。今日は仕事なのに、どうしよう。
眠れないまま朝を迎えると、「今日一日もつだろうか」「体は大丈夫だろうか」と不安になりますよね。
結論から言うと、一晩眠れなかっただけなら、今日は「朝の光」と「短い仮眠」を上手に使って乗り切りましょう。今夜はいつもの就寝時刻を目安に眠ると、リズムを立て直しやすくなります。
今日は、次の3つを意識してみてください。
- 起きたらカーテンを開けて、朝の光を浴びる
- 眠気が強いときは、午後3時前に15〜30分だけ仮眠をとる
- 夜は早く寝すぎず、いつもの就寝時刻を目安に眠気が出てから布団に入る
ただし、眠気が強い日の運転や危険な作業は避けてください。強い眠気や体調不良があるときは、予定を調整して休むことも考えましょう。
眠れないまま朝を迎える日をくり返すときは、不眠症やこころの不調が隠れていることもあります。早めに精神科・心療内科に相談しましょう。


医療法人社団一秀会 理事長
葛飾橋病院 院長
尾内 隆志
よりよい医療を提供し、地域に信頼される病院を目指していきます。
大口病院は、1954年に開設され、伊佐地区唯一の精神科医療機関として心の病を抱える方々の治療に従事してまいりました。
地域の皆さまにとってかかりつけの精神科病院となるべく、認知症、統合失調症、気分障害、発達障害など多様化した心の不調にあたるのに加え、近年は行政や関係機関と連携して地域の子どもから高齢者までのメンタルヘルス課題に対応するシステム作りにも取り組んでいます。
大口病院は、医療法人社団一秀会 葛飾橋病院が運営する医院の一つです。
葛飾橋病院は、地域の皆様や多くの病院の方々にご協力をいただき、半世紀をこえる歴史を重ねている医院です。
その間に社会環境、生活スタイルの変化など世の中も大きく変わり、それにともない精神医療分野も大きく変化し、今や患者様やご家族のご希望も変化・バリエーションが増えております。
これからも地域の皆さまと共に優しく開かれた医療をめざしていきます。
資格
- 精神保健指定医
- 認定精神科医
- 日本精神神経学会専門医
- 日本医師会認定産業医
- 日本医師会会員
- 日本精神科病院協会 会員
- 東京精神科病院協会 会員
- 東京都病院協会 会員
- ル・ソラリオン葛飾非常勤(嘱託)医師
専門分野
- 臨床精神科医学一般
眠れないまま朝になったけど、大丈夫?


一晩眠れなかったからといって、すぐに大きな病気につながるわけではありません。
ただ、今日は注意力や判断力が落ちやすい状態です。無理をしない一日の過ごし方を選びましょう。
一晩眠れないと起こりやすい変化
睡眠が足りないと、日中の眠気や疲れのほか、頭痛などの心身の不調や、気分の不安定さが出やすくなります。
厚生労働省の睡眠ガイドでも、注意力や判断力が落ちて、事故などの重大な結果を招く場合があると示されています。
| 起こりやすい変化 | 具体的な例 |
|---|---|
| 眠気・だるさ | 午前中から眠い、体が重い |
| 集中力・判断力の低下 | ミスが増える、話が頭に入ってこない |
| 体の不調 | 頭が重い、頭痛がする |
| 気分の変化 | イライラしやすい、落ち込みやすい |
※感じ方には個人差があります。強い不調が続く場合は医療機関に相談してください。
眠れなかった分を「取り戻そう」としすぎない
眠れなかった分を取り戻そうと、日中に長く寝たり、夜いつもより何時間も早く布団に入ったりするのは避けましょう。かえって体内時計が乱れ、次の夜も眠りにくくなることがあります。
大切なのは、失った睡眠を一気に取り戻すことより、いつものリズムに早く戻すことです。



一晩眠れなかったことを必要以上に心配すると、その不安が次の夜の寝つきにも影響することがあります。今日はできる範囲で過ごし、同じような夜が続くようなら、早めに相談してください。
朝起きたらすぐにやりたいこと


眠れないまま朝になったら、まずは体を「朝モード」に切り替えましょう。
起きたらカーテンを開けて光を浴びる
朝の光には、体内時計を整える働きがあります。
e-ヘルスネットでも、起きたらまずカーテンを開けて、自然の光を部屋の中に取り込むことが勧められています。
眠いからといってカーテンを閉めたままにせず、窓際で朝食をとる、通勤中に外の光を浴びるなど、意識して光を取り入れましょう。
朝食と水分をとる
朝食を食べることで、体が活動モードに切り替わりやすくなります。
食欲がないときは、スープやヨーグルトなど、軽いものだけでも構いません。
軽く体を動かす
ストレッチをする、駅まで少し早歩きをするなど、軽く体を動かすと、頭がすっきりしやすくなります。
起きる時刻は大きく遅らせない
明け方に眠気が来て、起きる予定の時刻まで時間があるなら、無理に起きていようとせず、少し眠っても構いません。
ただし、予定より何時間も遅くまで寝てしまうと、体内時計が後ろにずれて、今夜も眠りにくくなります。起きる時刻は、できるだけいつも通りを保ちましょう。
日中を乗り切るコツ|仮眠とカフェインの上手な使い方


眠れなかった日の日中は、短い仮眠を上手に使い、カフェインはとり方に気をつけるのがポイントです。
仮眠は「午後3時前・30分以内」
e-ヘルスネットでも、日中に眠気があるときは、午後3時前までに30分以内の昼寝をとることが勧められています。
15分程度の短い昼寝でも構いません。
| 仮眠のポイント | 目安 |
|---|---|
| 時間帯 | 昼休みなど、午後3時まで |
| 長さ | 15〜30分以内 |
| 姿勢 | 机に伏せる、椅子にもたれるなど |
| 起きたあと | 明るい場所に移動し、軽く体を動かす |
長く寝すぎると、起きたあとにかえってぼんやりしたり、夜に眠れなくなったりすることがあります。
カフェインは午前中から昼過ぎまでに
コーヒーやお茶に含まれるカフェインには、眠気を和らげる働きがあります。
ただし、夕方以降にとったカフェインは、夜の眠りに影響しやすくなります。
カフェインに敏感な人は、寝る5〜6時間前から控えるのがおすすめです。
眠れなかった日こそ、カフェインは午前中から昼過ぎまでにとどめましょう。エナジードリンクにもカフェインが含まれるため注意が必要です。
1日にとるカフェインの量が多いと、午前中にとった分でも夜の眠りに影響することがあります。眠気覚ましにコーヒーやエナジードリンクを何杯も重ねて飲むのは控えましょう。
子どもや高齢者、妊娠中の人は、特に量に気をつけてください。
眠気が強いときは、作業の順番を工夫する
眠気が出やすい午後は、単調な作業ほど眠くなりがちです。
- 集中力が必要な作業は、比較的頭がさえている午前中に回す
- 午後は人と話す作業や、体を動かす作業を入れる
- 大事な判断や手続きは、可能なら翌日に回す



短い仮眠は日中の眠気を和らげる助けになりますが、一晩分の睡眠不足を補えるわけではありません。強い眠気や体調不良があるときは、予定を調整してでも休養をとるようにしてください。
仕事や学校には行ってもいい?運転は?


行くか休むかを決める目安
仕事や学校に行くかどうかは、眠気や体調に加えて、通勤手段や仕事の内容もふまえて判断しましょう。
次の表を目安に、無理をしないことを優先してください。
| 項目 | 行くことを考えてよい状態 | 休む・相談を考えたい状態 |
|---|---|---|
| 眠気 | 眠いが、仮眠や休憩でしのげる | 強い眠気で、気づくとうとうとしてしまう |
| 体調 | 軽いだるさ程度 | 頭痛や吐き気、めまいが強い |
| 気分 | 普段と大きく変わらない | 強い不安や落ち込みで、何も手につかない |
| 通勤・仕事の内容 | 自分で運転せず、危険を伴う作業もない | 車の運転、機械の操作、高い所での作業などがある |
※判断に迷うときは、休暇や遅刻、業務内容の調整などを職場や学校に相談しましょう。
運転や危険な作業は特に注意
e-ヘルスネットでも、居眠りや集中力の低下が、居眠り運転などの深刻な事故につながると注意が呼びかけられています。
睡眠不足が長引くと、むしろ眠気を自覚しにくくなることもわかっています。「眠くないから大丈夫」と思っていても、判断力は落ちていることがあります。
眠れなかった日は、車やバイクの運転はできるだけ避け、公共交通機関を使うなどの工夫をしましょう。
今夜ぐっすり眠るための過ごし方


眠れなかった日の夜は、「早く寝て取り戻そう」と考えがちです。
しかし、いつもより何時間も早く布団に入ると、かえって寝つけないことがあります。その時間帯は、脳を起こしておく「覚醒力」がまだ強いためです。
夕方から寝るまでの過ごし方
| 時間帯 | 過ごし方のポイント |
|---|---|
| 夕方 | カフェインを控える。仮眠はとらない |
| 夕食 | 寝る直前の食べすぎを避ける |
| お酒 | 眠るためのお酒(寝酒)は控える |
| 入浴 | 就寝の1〜2時間前に済ませる |
| 就寝前 | 照明を落とし、スマホは寝室の外に置く |
| 布団に入る | いつもの就寝時刻を目安に、眠気が出てから |
※入浴のタイミングは、睡眠ガイド2023の記載をもとにしています。
寝酒は、寝つきがよくなったように感じても、睡眠の後半の眠りが浅くなり、夜中に目が覚めやすくなります。眠れなかった日こそ、お酒の力に頼らないようにしましょう。
布団に入るのは「いつもの就寝時刻」を目安に
いつもの就寝時刻を目安にしながら、眠気が出てから布団に入りましょう。眠気が強いときは、少し早めに休んでも構いません。
ただ、眠気がないのに、睡眠を取り戻そうとして何時間も早く布団に入るのは避けてください。
布団に入っても眠れず焦るときは、いったん寝床を離れましょう。暗めの部屋で静かに過ごし、眠気が戻ってから布団に戻ります。
そして、翌朝はいつもの時刻に起きること。これが、体内時計を整えてリズムを取り戻す近道です。
眠れない日の翌日に避けたい行動


よかれと思ってしていることが、次の夜の眠りを妨げていることがあります。
- 夕方以降に長い昼寝をする:夜までに眠気がたまりにくくなります。
- 夕方以降にコーヒーやエナジードリンクを飲む:カフェインの覚醒作用が、夜まで残ることがあります。
- お酒の力で眠ろうとする:夜中に目が覚めやすくなります。
- 眠気がないのに、何時間も早く布団に入る:寝つけない時間が長くなり、焦りが強まります。
- 次の休日に昼まで寝だめする:体内時計が後ろにずれ、週明けに眠りにくくなります。
厚生労働省の睡眠ガイドでも、夜の良い眠りを妨げる長い昼寝は避けること、寝酒はしないことが勧められています。
眠れないまま朝になったのはなぜ?


眠れないまま朝になった原因は、一つとは限りません。思い当たるものがないか、振り返ってみましょう。
| 原因 | 具体例 |
|---|---|
| ストレス・不安 | 仕事や人間関係の悩み、翌日の予定への緊張 |
| 寝る前の刺激 | スマホやパソコン、カフェイン、お酒、夜遅い食事 |
| 生活リズムの乱れ | 休日の寝だめ、長い昼寝、夜ふかし、交代勤務 |
| 寝室の環境 | 暑さや寒さ、明るさ、騒音 |
| こころや体の病気 | 不眠症、うつ病、不安症、痛みやかゆみなど |
特に、布団に入ると考えごとが止まらない人は、不安や緊張で脳が「警戒モード」になっている可能性があります。
関連記事:いろいろ考えすぎて眠れない時の対処法|今夜できることと受診の目安
眠れないまま朝になる日が続くときは


考えられるこころや体の病気
眠れないまま朝を迎える日が続く場合は、不眠症や、うつ病・不安症などのこころの不調が関係していることもあります。
e-ヘルスネットによると、成人の30〜40%に何らかの不眠症状があり、慢性的な不眠症は成人の約10%にみられるとされています。
| 気になるサイン | 考えられること |
|---|---|
| 寝つけない夜が何日も続く | 不眠症 |
| 朝早く目が覚めて眠れず、気分の落ち込みも続く | うつ病 |
| 心配ごとが頭から離れず、緊張が続く | 不安症(不安障害) |
| 夜中に何度も目が覚める | 中途覚醒(不眠症のタイプの一つ) |
| 大きないびきや呼吸の停止を指摘された | 睡眠時無呼吸症候群 |
※症状だけで病気を判断することはできません。気になる場合は、医療機関で相談してください。
関連記事:中途覚醒の原因|再入眠の方法や受診の目安
何科に相談すればいい?
眠れない悩みは、精神科・心療内科で相談できます。
眠りのことだけでなく、不安や気分の落ち込みなど、心の状態もあわせて診てもらえるのが特徴です。
いびきや呼吸の停止を家族から指摘されている場合は、睡眠外来や呼吸器内科、耳鼻咽喉科などへの相談も考えましょう。
受診の際は、次のことをメモしておくと、状況が伝わりやすくなります。
- 眠れない日がいつごろから、週に何日くらいあるか
- 布団に入った時刻と、眠れた時刻・起きた時刻
- 眠れないときに考えていることや、気分の変化
- 仕事や学校、家事への影響
- お酒やカフェインのとり方、服用中の薬



眠れないまま朝を迎える日が続くと、心にも体にも疲れがたまっていきます。「このくらいで受診してもいいのかな」と迷う段階でも、相談していただいて構いません。
「消えてしまいたい」「死にたい」と感じるほどつらいときは、一人で抱え込まず、すぐに相談してください。
- #いのちSOS:0120-061-338(無料・24時間365日)
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556(通話料がかかります。受付の曜日・時間は都道府県によって異なります)
今すぐ自分を傷つけてしまいそうなときは、119番に連絡してください。
よくある質問


まとめ


眠れないまま朝になった日は、無理に取り戻そうとせず、いつものリズムに戻すことを意識しましょう。
- 起きたらカーテンを開けて、朝の光を浴びる
- 眠気が強いときは、午後3時前に15〜30分だけ仮眠をとる
- 夜は早く寝すぎず、いつもの就寝時刻を目安に眠気が出てから布団に入る
眠気が強い日は、運転や危険な作業を避けることも大切です。
眠れないまま朝を迎える日が続くときや、日中の生活に支障が出ているときは、一人で抱え込まず精神科・心療内科に相談してください。
大口病院でも、眠れない悩みや心の不調についてのご相談をお受けしています。
参考資料
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「不眠症」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-001.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-004.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「昼間の眠気 – 睡眠不足だけではなく睡眠・覚醒障害にも注意が必要」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-002.html
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(睡眠対策) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/









